卒業生・教員からのメッセージ
浦崎 渉 さん(2016年度卒業、2018年度修了)

浦崎 渉さん

卒業年度:2016年度 人間発達科学部発達教育学科学校教育コース 卒業
     2018年度 教職実践開発研究科(専門職学位課程)教職実践開発専攻 修了
現在の勤務先:金沢市立伏見台小学校(石川県)

○「教員になるためにやったこと」「教員志望の後輩に対してのアドバイス」
 1時間後あなたは何をしますか?大学の講義でしょうか?それとも、バイト?大切な人と時間を共にする人もいるかもしれませんね。
 学生の1番の武器は時間です。人生の中で、自分の思うようにできる時間が一番長いのが学生だと思っています。それから、80歳の1時間と20歳の1時間では価値が全然違うものです。その時間の使い方があなたの人生をより有意義なものにしてくれるかもしれません。「後輩へのアドバイス」というテーマを頂いたので、私の経験を踏まえて時間を大切に使うヒントを贈ります。
 まず初めに、みなさんにおすすめしたい時間の使い方は「人生設計図」を作ることです。本屋に行けばそれらしいタイトルの本も並んでいますし、ネットで検索すればテンプレートもヒットするでしょう。今の時点から人生をまっとうするまでに、いつ、何を、どのように過ごしたいのか図や表にまとめていくものです。
 教員を志望しているのであれば、設計図を作るときに「どんな教師になりたいかな?」「どんな死に際をむかえたいかな?」と考えてみてほしいです。すると、その理想の姿に近づくためにはいつまでにどんなことをしなければいけないのかが見えてきます。必要なことが見えてくると行動に移すことができ、行動するとそれに対する結果が出てきます。この先の人生では、それをもとに設計図や自分のアクションをブラッシュアップさせていくことでよりよい人生を実現することができると考えています。
 もちろん、夢や目標はひとそれぞれなので、必要なこともそのタイミングも十人十色です。私が学生時代にやってよかったなと思う時間の使い方が2つあります。1つ目は、やはり学ぶことです。教員採用試験の勉強や卒論を書く中で、「もっと子供の気持ちに寄り添える教師になりたい」という思いが強くなりました。当時の私は、私自身のことを「周りをちょっと気にしているふりをして結局我が道をいく人間だ」と思っていたからです。
 しかし、人生設計図を見直した時に、現場に出てから変えていたのでは遅いと感じました。そこで、すぐに働き始めるのではなく、どうすれば子供たちの気持ちに寄り添えるのか、教職大学院に進学して学びを深める選択をしました。自分のテーマをもちながら現職の先生方と考えを熱く交流させていただいたことは、今の私にとってものすごく財産になっていると感じています。
 2つ目は、遊ぶことです。教員の世界は働き始めると同業者との関わりが特に多くなります。専門的な知識が増えたり深まったりする一方で、見方が狭くなってしまう部分もどうしても出てきます。今のうちにいろんな人との関わりを大切にし、多様な価値観をもって感化し合えるつながりを大切にしてはどうでしょうか。保護者との会話でネタになることもあるかもしれません。
 また、自分の五感を使って「本物」を体感する活動も意識していました。鳥取砂丘を裸足で歩いたことや(思いのほか小さくてびっくり!)、ゼミのスペイン研修の際に行った美術館で生のゲルニカを見たこと(心が震えました)は、記憶にも記録にも残っています。「本物」を話したり見せたりすることは、経験の少ない子供たちにとってより大きな世界に視野を広げるきっかけになります。
 もしかすると、学生時代の時間の使い方でもっと素敵な使い方があったかもしれません。ですが、後悔はまったくありません。後輩にあたるみなさんが「あの時あれをしておいてよかった!」と思える時間の使い方をして、より楽しい人生を送ってくれることを願っています。そして、そんな素敵なみなさんと力を合わせて働ける日を心待ちにしています!
 最後に。1時間後あなたは何をしますか?